第405章

前田南は、父と娘の触れ合いを眺めながら、胸の奥が少し痛むのを感じた。以前の望月琛なら、こんな些細なことに気を配るなんてありえなかった。それなのに今の彼は、ウェットティッシュまで持ち歩いているなんて。

「前田社長」

唐突に、桂川翼が窓の外を指さした。

「あそこでキャンプファイヤーの準備をしているようです。見に行きませんか?」

中庭の中央にはすでに薪が組まれ、数人の村人が農産物を並べている。前田南が頷こうとしたその時、背後から望月琛の声が響いた。

「ククが先に風呂に入りたいそうだ」

着替えを手に持ち、彼は静かな瞳で桂川翼を見据えた。

「桂川さんは、先に村人たちの夕食の準備を手伝って...

ログインして続きを読む